ジャケットMMA≒柔道+空手 KARATE+JUDO≒KUDO 御茶ノ水(淡路町・小川町)にある総合格闘技道場。

(社)全日本空道連盟 総合武道 大道塾 御茶ノ水支部

主将のコラム

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column#54

空道ルールへの提言6

前回につづき、最近、連盟に提出した提案の一部を一般に公開できるかたちに修正して、以下、掲載する。

1.「投げでの効果」の基準の不明瞭さにかんして

 4月の地区大会で副審をしていた際、強く背中から落とす投げが決まり、同体で巻き込んだわけでもなかったために「効果」のジェスチャーをしたが、審議を経て「投げた後の姿勢が崩れていたから、効果に相応しくない」との判断となった。しかし、現行のルールブックでは「鮮やかな強い投げ」に効果を与えるとのみ記されており、投げた後の姿勢等にかんして言及がなく、どの程度の強さ、鮮やかさが効果に値するのかも、審判間で共通の認識を持ち得ない。頭部にダメージを与える投げが反則と定義されている一方で、強く鮮やかに背中から落とす投げが効果でないなら、いったい、どんな投げが効果なのか? YOU-TUBEなり、過去の映像なり(他競技の映像でもよい)で「これは効果に値する」「これは○△だから効果に値しない」といった具体例を示して欲しい。

2.プラスチック部分への打撃に効果ポイントを与えることが、認知されていないのでないか?

 審判を務めた試合後、負けた選手から「相手のストレートが面のプラスチック部分にコンと入って、全然、効いていないのに、効果を取られた。しかし、自分のフックがアゴに入って、頭部を揺らしたのに効果をもらえなかった。納得がいかない」と、抗議を受けた。しかし、顔面攻撃に効果ポイントを与える理由のひとつは「本来の素面・素手で行う闘いにおいては、顔の前面(眼~鼻~口腔部)に対する攻撃は、鼻骨や眼底・眼窩の骨折、歯の脱臼など(社会生活を考えたときに〝敗北〟に価する)大きなダメージを負わせるものであるにかかわらず、面着用、あるいはグローブ着用の競技においては、そのような負傷が防がれるようになっているがために、脳を揺らすパンチが攻撃の主体となる」現実との乖離を補完することである(この考え方に誤りのないことは、東孝審判長に確認済み)。従って、効果ポイントは、それが前拳の直突き(いわゆるジャブ)であろうと〝プラスチック部分がなかったとしたら、顔面に骨折・裂傷などの大きなダメージを与えていたと思われる攻撃〟に与えるのが当然であって、グローブ着用競技の視点で「あんなの脳を揺らしていない」と不平をいうべきではない。チン~ジョー、テンプルへのパンチは、面を着用していても素面のときと同様に脳を揺らすのに対し、顔面へのパンチはプラスチックに阻まれて、骨折・裂傷を負わせる威力を減殺されるのだから、プラスチック部分へのヒットには効果ポイントを与え、プラスチック部分以外のクッション部分へのヒットには効果ポイントを与えない傾向となるのは当然である。もし、このことが選手や観客、ましてや審判に広く認知されていないのであれば、明文化し、ルールに添えて欲しい。

3.寝技の攻防の場合は「攻防する二人を一体とみなし、その2分の1以上が場外に出た時」に待てを掛け、立ち技(打撃、組み技双方)の攻防の場合は「片方の選手の足が場外に出た時点」で待てを掛けるのが、現行ルールだと解釈しているが異なるか?

 審判間の論議で「立ち技でも、攻防する二人を一体とみなし、その2分の1以上が場外に出た時に待てを掛ける(それまでは待てを掛けない)のが現行ルールだ」という主張があった。それでは、両者が遠く離れた間合いを保っている場合、片方の選手が試合場外に大きく出ていても、待てを掛けないことになるので、不適当だと思うが、この件、ルールブックに詳細の記載が見当たらない。
 また、「現実の闘いに即したルールを制定した結果、打撃が組み技より有効なことが証明される」のはよいが「打撃が組み技より有利になるようにルールを定める」のは、あってはならないことと考えている。「場外逃避は、組み技ではokで、打撃の攻防では反則」というルールがどういう論理に基づくものなのか? 説明して欲しい。

4.2015年全日本体力別選手権パンフに載った「ポイント制の説明」の問題点

 パンフには「一方の選手が8P得点した場合、試合終了」と記してある。ポイントの計算方法としては「一方の選手が有効を2回(2ポイント×2回=4ポイント)取り、反則2(-2ポイント)を犯していた場合、この選手のポイントは合算(4-2)で2ポイントとなる」と図示している。
 この「個々の選手の得たポイントと失ったポイントを合算する」計算方法だと、A選手が技有り2回を奪った場合でも、それまでの試合過程において反則2を犯していれば、合算上6ポイント(4ポイント×2-2ポイント)となるので、試合が継続することになる。

 従来なら、試合終了としていたダメージ度に達しているにもかかわらず、試合が続行されるようになるということは、安全管理の面で問題があり、より安全な競技を求める〝スポーツ界のグローバルスタンダード〟の潮流に逆行するものである。

・この問題の改善案

「A選手の反則ポイントを、対戦相手B選手のポイントに加算しての8ポイント先取」とする。このかたちにすれば、むしろ、従来より試合終了(8ポイント獲得)に到達しやすくなる。

・参考までに。

 ポイント制を導入するのは、公的スポーツの条件「シンプルで、誰にでも分かりやすく、納得がいくルールで競技が行われている」を満たすためなので、ポイント制の導入により「まったく競技に詳しくない観客でもみるだけで勝敗が把握できる」得点盤になっていなければ、意義が薄いと考えられる。従って「原則・・・・だけど・・・・の場合は・・・・」といった補足説明を必要としないようにすべき。〝ポイント制に合うように、これまでのルールの複雑な部分をシンプル化する〟べきであって〝これまでのルールを変えなくて済むように、ポイントの採り方に特例を設ける〟にしてしまっては「かえって複雑化してしまった。これだったらポイントなんてない方が混乱がなかったよ」といった結果になりかねない。

現状のパンフの説明では……
「打撃でのポイントを含む2ポイントがあり、かつポイント差があれば、旗判定なし決着」
「投げのみであっても、3ポイント以上があり、かつポイント差があれば、旗判定なし決着」
……といった細々とした条件が付記されているが、これを観戦者に把握させるのが難しいのはもちろんのこと、審判ですら、混乱するのではないか。シンプリシティーに背反する細則は、極力撤廃すべきだと思われる。

 また、昨年のアジアカップ・オープン同様、パソコン操作&デジタル画面表示にすべきかと(市販のソフトをインストールすれば可能?)。デジタル画面の方が、その後、試行錯誤に応じて表示内容を変える際の経費も、安価に抑えられるのではないかと思われる。

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5.「相手のセコンドが選手の服装、バンテージやサポーターの不正使用がないかをチェックする」システムは、チェックしなければ不利になるし、みつかれば遅刻してポイントを失うし、選手係の労力は減るのだから、とてもよいと思う。

6.得点スコア掲示板とタイマー表示係の役割として「審判監査役(チェアマン)やフォトグラファーが、掲示板やタイマーの前に座ろうとしたときは移動するように指示する」ということを加えていただきたい。あらかじめ、観客や、選手セコンドから得点盤・タイマーがみえなくなるゾーンには、立ち入り禁止のラインを引き、目安とするのもよいと思う。係向けの作業内容マニュアルを作成し、大会開始前に、指示を徹底して欲しい。

7.「試合をする選手の間に体力指数差が20以上ある」「試合をする選手の間に体力指数差が30以上ある」ことは、本部席の勝ち上がり表管理係が気づき、試合開始前に審判団に伝える(マイクを通じてアナウンスする)。このことは昨年、議決されたはずだが、現状、まだ、試合が始まってから、セコンドが「あ、この試合、体力指数差が30以上いじゃないか?」と審判に指摘し「あっ、そうか!」というケースが見受けられる。係向けの作業内容マニュアルを作成し、大会開始前に、指示を徹底して欲しい。

8.副主審席は、何かしらの印をつけるなどで「その席に座っているのが副主審である」ことが、観客に分かるようにしては?(以前述べた通り、副主審制自体を撤廃することを望むが)

9.大会後、委員会は「問題があったのではないか」と思われる数試合をピックアップし、試合内容と審判団の裁定をビデオで振り返り、「○△だから問題なし」「□×だから、ここで◆◎しないのは誤り」といった判断を、支部長会議などにて、ビデオを公開しながら伝えてはどうか? あるいは試合当日、閉会式後に、5分でも〝今回の審判の反省点〟を指摘しあうミーティングを開くなど。他のスポーツ競技に照らし合わせれば、このようなチェックシステムを経て、ミスジャッジが指摘された審判はライセンス昇格が見送られるものだ。

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